Agメッキの表面は非常に活性で表面と腐食媒体(H2S,SO2ガスなど)の反応により変色が容易に生じる。光は余分なエネルギーを与えて、Agのイオン化及びAgと腐食媒体の反応を促進させる。
下表-1はAgの変色に及ぼす光波長と露光時間の影響、下表-2に露光時間による色と化学組成の変化を示した。
表-1銀変色に及ぼす光波長と露光時間の影響
光 |
露 光 時 間 (h) |
|
6 |
12 |
18 |
24 48 |
2537Å
3650Å
日光 |
変色無し
変色無し
変色無し |
黄色斑点
変色無し
変色無し |
黄-褐色
変化無し
変化無し |
褐-黒色
黄色
黄色斑点 |
色
-
- |
2537Å光の
露光時間 |
6 |
12 |
18 |
24 |
48 |
色 |
銀色 |
黄色 |
黄-褐色 |
褐-黒色 |
黒色 |
主化学組成 |
Ag(金属) |
Ag2O+AgO |
Ag2O+AgO |
gO+Ag(超微粒子) |
Ag(超微粒子 |
これらの結果から変色生成物はAgの硫化物、塩化物又はAg粒子である。
変色Agの色は生成物の化学組成によって異なる、このような変色は装飾的美観を損なうだけではなく
接触抵抗を増大させ電気的とくせいをも劣化させる。
上記のメカニズムから、Agメッキの変色防止はAgメッキ表面をO2、光、他の腐食媒体から隔離、遮断することで達成される。
従来からAgメッキの変色防止として無機化合物による方法有機気化合物、界面活性剤による方法、それらを組み合わせた方法が用いられている。
無機化合物による処理
いろいろな変色防止法の効果を比較するためにAgメッキを2〜3μm施したテストピースを0.2%多硫化アンモニウム溶液に所定時間サンプルを浸漬し、目視により判定した(※)。
Agの変色防止としてAgと同じ色調であるIn,Zn,Cd,Pd,Rh,Sn,Be,Al,Th,Zrの金属皮膜あるいは金属酸物皮膜の使用がが試みられ、中でもクロム酸塩の電解処理は耐変色性に優れ最も広く使われ、次いでにRh,Beなどが使われている。
貴金属による処理
スズ及びスズ合金による処理
ベリリウムによる処理
アルミニュームによる処理
クロム酸塩による処理
有機化合物および界面活性剤による処理
有機化合物中で変色防止に効果があったものは2-ヘプタデシルイミダゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、チオナリド
であり、これら変色防止効果のある有機化合物には以下の共通点がある。
1.PH7付近よりアルカリ性領域で処理されている。
2.疎水性其(長鎖アルキル其、フェニル其)をもっている。
3.>NH其か-SH其をもっている、又二重結合である。
4.水に不溶
5.無色に近い個体
であるが逆に以上の条件に当てはまってはいるが効果の無いものとして2-メルカプトベンゾオキサゾール、
2-メルカプトベンゾイミダゾールがあるがこれらとの相互関係は明確ではない。
※ただし最近の研究ではNO2とH2Sのミックスガスがフィールドに反映した試験として最適であると報告されている。 |